マカオがカジノの売り上げ低迷から約894億円を補填

新型コロナウイルスの影響でインバウンド旅客が減ったことが原因

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2021年11月19日にマカオ行政会がマスコミ向けに記者会見を開き、カジノの売上が低迷した中での財政収支の修正予算案を発表しました。カジノを中心としたインバウンド旅客に売上を依存しているマカオ経済は、新型コロナウイルスの影響で税収が低迷しています。今年度の財政予算に対してこれまで積み上げをしてきた財政準備金を切り崩して赤字の補填をするものです。

今年度の財政予算に対して、日本円で約894億円を補填すると発表されています。また、一般の総合支出などを削減して、約377億円を削減するという修正予算案も合わせて発表しました。

マカオでは、新型コロナウイルスに関して2021年9月下旬から10月にかけてデルタ株の市中感染が確認されたことがあり、水際措置が強化されていました。ただ、その後に全市民を対象としてPCR検査の実施などさまざまな対策を講じたことで状況は落ち着き始め、改めて年末に向けてインバウンド旅客の獲得を再開しています。

現在のマカオでは、F1の『マカオグランプリ』を無事開催し、『マカオフードフェスティバル』なども予定していて、インバウンド旅客の獲得に向けたイベントを相次いで打ち出しています。年末に向けて、少しでも売上を積み上げるためです。

マカオ行政会によると、2021年10月までのカジノに関する売上の累計は日本円で約1兆166億円となり、予測値として発表されていた約1兆8330億円からはかなりの開きがある状態となっています。

順調に新型コロナウイルスが沈静化し、年末にはインバウンド需要が復活したとしても財政赤字が生じる見込みが強いため今回の修正予算案を急遽審議にかける事となりました。ただ、マカオではこれまで巨額の財政準備金が積み上げられていることから、赤字補填をしてもまだ余裕がある状況となっています。

ちなみに、財政準備金による予算の補填を含める調整は、今年度では3回目となります。2020年にも新型コロナウイルスの影響で3回の調整が行われています。 日本を中心に、世界的にも新型コロナウイルスが沈静化してきたこともあり今後はカジノの売上も回復しそうなマカオ。今後も売上には注目をしていきたいと思います。

【参考】マカオ政府統計調査局