マカオのカジノを作り上げた「スタンレー・ホー」と「SJMホールディングス」とは?

世界一の売り上げとなったマカオの基盤を作った男

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現在、カジノの売り上げ世界一は中国のマカオで、返還後は6つの大手事業者によってカジノを含む統合型リゾート施設(IR)が運営されています。

そのなかでも、返還前のポルトガル統治時代からマカオでカジノ運営を続けてきたのが、『SJMホールディングス』です。最近では、マカオにおけるゲーミングライセンスを保有している『ソシエダーデ・デ・ジョゴス・デ・マカオ』が『SJMリゾーツ』に社名を変更したことがニュースとなった会社です。

同社の創業者は『スタンレー・ホー』氏です。1921年、スタンレー・ホー氏は香港の裕福な家庭に生まれました。ところが、1929年頃から始まった世界恐慌によって、一家は財産を失ってしまいます。まだ11歳だった同氏は、貧しい生活を余儀なくされたといいます。

その後、1941年に日本が香港に侵攻したため、同氏はマカオに逃れました。そこで事業を始めた氏は、確実に資産を増やしていきます。

マカオのカジノ事業で大成功

1962年、投資家のグループとマカオでカジノを含む事業を展開するようになりました。その際、2001年までにカジノ事業を独占的に扱うライセンスを獲得しています。

そして、1970年にカジノを併設した『ホテル・リスボア』をオープンします。独特のイルミネーションと豪華なロビーなど古風な趣を漂わせるこの老舗ホテルは、現在でもマカオの名所のひとつになっています。また、小説『深夜特急』で有名な作家の沢木耕太郎氏が足しげく通ったカジノは、この『ホテル・リスボア』だといわれています。

さらに2007年、ホテル・リスボアの別館として『グランド・リスボア』を開業しました。カジノとレストランが2007年2月11日に、ホテルは2008年12月にスタートしています。最頂部の高さが261メートル、客室等430室の高級ホテルです。ハスの花をイメージした外見は有名で、マカオのあらゆる場所から眺められ夜にはイルミネーションが灯されてひときわ美しく映えています。まさにマカオのランドマークと言えます。

マカオのカジノを一族で拡大させている

こうしてスタンレー・ホー氏は、『マカオのカジノ王』と呼ばれるようになりました。

2001年にマカオは中国に返還され、2004年からはアメリカ資本によるカジノが次々にオープンしました。その基礎を築いたのは、スタンレー・ホー氏と彼が一代で築いたSJMホールディングスによるものでしょう。

スタンレー・ホー氏は2020年に98歳で死去しました。現在、SJMホールディングスのCEOは娘のデイジー・ホー氏が受け継いでいます。また、彼の子供たちも同社グループの要職についているほか、息子のローレンス・ホー氏は、やはりマカオなどでIRを展開するメルコリゾーツの経営に携わっています。カジノ事業をめぐる『華麗なる一族』は、創設者の死後もカジノを発展させるために奮闘しています。

【参考】SJMホールディングス