ベトナム政府は、カジノ事業や観光業をはじめとする国内産業の復活を目指し、外国からの入国に関する新型コロナウイルス関連の検査要件を停止し、海外旅行者を意欲的に受け入れる方針であることを明らかとしました。
フィリピンの事例も参考に決断へ
これは、2022年5月13日にヴー・ドゥック副首相が再度表明したもので、入国前にコロナ検査の陰性結果を取得する必要はなくなり、これにより海外からの訪問者が増えるとしています。
この背景には、新型コロナウイルスによって深刻な経済的打撃を受けていたフィリピンが規制の大半を解除し、旅行者を受け入れるようになった後で景気が回復する兆しが出ていることを受けてのものだと言われています。
フィリピン以外の東南アジア諸国でもコロナ規制をほとんどなくし、海外からの旅行者を受け入れ景気回復を目指す方向で調整している国が多い現状です。ベトナムもこの流れに従う方針を決めたといいます。
そんな中で、新型コロナウイルスの発生源とされる中国では、経済的な損失は増大する一方だと言われています。感染者ゼロを目指す取り組み「ゼロ・コロナ政策」がさらに強化され、上海や北京などの大都市ではたびたび都市封鎖措置や出入国制限がとられていますが、こうした政策をとる国は東アジア・東南アジア圏ではほとんどありません。
労働者の確保が課題になる
とはいえ、隣国カンボジアのように制限を解除しカジノ事業や観光産業などを再開しても、既に別の仕事に就いてしまっている人々が多くなり深刻な労働力不足に悩まされているケースもあります。
現在カンボジアでは、国境地帯にあるカジノや宿泊施設などを封鎖しているケースもあり、アフターコロナ時代が訪れても事業を再開できない施設や企業が倒産へと至るケースが増えると予想されています。
なお、今回の決定についてベトナム保健省は、あくまで世界各国の対応例に沿ったものであることを強調。国の内外へ、コロナ禍からの復活を目指す意思を明確に示すこととなりました。
欧米諸国では新型コロナウイルスも受け入れる形で、さまざまな施策が取られ始めています。日本も含めアジア諸国がどこまで観光客を受入れ、また海外旅行が自由に行えるようになるのか、注目を集めています。