タイがカジノを含むIRの導入に一歩前進

合法カジノ設置に向け臨時委員会を成立

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タイの人民代表院(下院)は2021年12月2日、タイ国内へのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)に関する提言を検討するために、約60人のメンバーで構成される臨時委員会の設立を決議しました。

この委員会は内閣からの代表者15人に加え、各政党から集められた45人によって構成され、90日間に渡る調査を行うとしています。また、委員会についてウィサヌ・クレアンガム副首相は、カジノに関連する道徳的な問題を調査し今後どのような法的枠組みをすれば同国内でのカジノ事業に対して確実で適切な規制と課税を可能とするのかを主に調査・研究していくとしています。

近年、仏教国においてカジノやギャンブルを合法化することが各国で論争となっています。たとえばタイに隣接するカンボジア、ラオス、マレーシアでは既に合法的なギャンブルスポットが設けられています。こうした周辺国の情勢を鑑みてか、タイ議会ではカジノを含むIRを開設することに対して支持を集めており、今回の決議に際してもほぼ全ての議員が賛成に票を投じているほか、プラユット・チャンオチャ首相も熱心に支持しているといいます。

背景には、「アフターコロナ」における経済復興の原動力としたい思惑があるほか、現在、同国では政府が後援する宝くじと競馬のみが合法となっている中で、市民には非合法な地下賭博に手を染めるケースも目立ち始めているからです。政府は長年、そうした地下賭博との戦いに悩まされてきた経緯があること、さらには、カジノを含むIRに対して反対派だったプミポン元国王が逝去したことが大きいと見られています。

きちんと国が管理をするカジノを含むIRやギャンブル施設を作り、そういった地下賭博を国内から排除したい考えがあります。タイは現在人口が約7000万人いることから、同国でカジノを含むIRが設立されれば、新たなマーケットが東南アジアに出現することになりそうです。

日本でもカジノを含むIRの誘致が進んでいて、2020年代の後半にはカジノが開設する予定です。そんな中で、同じアジアから意外なライバルが現れそうな予感がします。