和歌山のカジノを含むIR誘致の「是非を問う住民投票」求める声が多数

有効となる票数の半分近い3000人分がすでに集まる

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和歌山県が人工島『マリーナシティ』に誘致を目指している、カジノを含む統合型リゾート(IR)の計画。事業者に『クレアベストニームベンチャーズ』と米国のカジノ大手『シーザーズ・エンターテインメント』を選定して、地元との調整などを進めています。

その中で、市民団体の「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」が、今回のIR誘致計画について県がしっかりと地元住民の意見を聞くべきだとして、是非を問う住民投票に向けた署名活動を行っています。

市民の会の豊田泰史共同代表は「市民の声を聞く姿勢が民主主義の基本だ」と、地元のマスコミの取材で意見を訴えています。この署名は、2021年12月5日まで和歌山市内の街頭や個別訪問で集められることになっています。

「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」によれば、2021年11月14日の時点で署名が3000人分あつまり、最終的には2万人分を目指していると発表しています。今回の署名が有効となるには、有権者の50分の1にあたる約6200人以上が参加する必要があります。現時点ですでに半分近い署名が集まっていることになります。

今回の署名が有効となれば、市民の会が住民投票条例の制定を和歌山市長に請求します。請求が受理されれば、市長が20日以内に議会を開きその上で審議が進められていきます。

市民の会などがカジノに関して是非を問う住民投票を訴えた事例としては、最近ではIRの誘致を撤回した横浜市が有名です。「カジノの是非を決める横浜市民の会」が署名活動を行い、約20万6千人分が集まり請求が受理されました。最終的には市議会が住民投票条例案を否決していますが、この活動がきっかけとなりカジノに対して住民の意識が高まったと言われています。

和歌山県では2021年10月9日に県議会の「IR対策特別委員会」が開かれ、事業者についての透明性、事業の安定性、継続性などを疑問視する声が上がっていました。県は2021年11月25日からの1カ月間、県民からの意見の募集を実施すると公表しています。また、今後、「IR対策特別委員会」も数回開き協議を進めていく方針としています。

和歌山県では少子高齢化などを要因として、仁坂吉伸県知事が2021年8月の定例記者会見で「意味もなくIRを推進しているわけではない。今後の発展を考えたら衰退を食い止めるために、かなりの投資をしないといけない」と推進派のコメントをしています。

そういった意味でも、今回の署名がどの程度集まるのか注目が集まります。