現在、世界にはカジノを含むIRの開発や運営を手掛ける企業は数多くありますが、そのなかで国営企業として有名なのが、オーストリア共和国の『カジノ・オーストリア・インターナショナル』(CAI)です。
世界各地でカジノ事業を行っているCAIJ
オーストリア国内だけでも12カ所のカジノ関連施設を運営し、ドイツに10カ所、スイスに10カ所を運営。さらにオーストラリアやベルギー、デンマーク、エジプト、など世界35カ国215か所でカジノの開設や運営を手掛けてきた実績を持っています。
オーストリア政府の介入があり社会的な信頼性が極めて高く、「国際ゲーミング賞」を2008年・2009年・2011年・2012年において「ヨーロッパにおける最高賞」、2010年に「社会貢献賞」を獲得しています。
そのカジノ・オーストリア・インターナショナルが日本における事業展開のために設立したのが、『カジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン株式会社』(CAIJ)となります。東京都千代田区に本社を置きカジノを含むIRの開発、企画、経営、管理及び運営を進めています。
2018年11月5日には、オーストリア大使館で日本におけるIR事業参入を発表する記者会見を開き、ニュースにもなっています。代表取締役を務める林明男氏は、「医療分野とのアライアンス」、「オーストリア・ウィーンの本物のクラシックが楽しめる施設」、「世界で最も女性が入れるIR」の3つを特徴として掲げていると交渉しました。
「東洋文化と西洋文化の融合」をコンセプト
そして2021年8月、ハウステンボスへIR誘致を目指す長崎県がCAIJと基本協定を結んだことが発表され事業者に指名されました。
実はCAIは、2004年頃からすでに日本での事業展開を視野に入れていたと言われ、機が熟すのを伺っていたとのことです。そして、近年のIR誘致の意識の高まりから、CAIJの設立という運びとなりました。
CAIJは、カジノを含むIRの誘致計画に関して、「東洋文化と西洋文化の融合」をコンセプトにしています。
カジノや宿泊施設、各種レジャーや飲食部門などのほか、国際会議場や展示場を備えたMICE施設や、アニメやゲームといった日本が世界に発信するカルチャーを紹介する「ジャパン・ハウス」、最先端の医療サービスを提供する『メディカルモール』などの、ユニークな企画も盛り込んでいるようです。
2022年3月10日には、CAIJと長崎県が県議を対象にした説明会を実施し、約4383億円となる資金調達計画について、国内外からの出資や金融機関から融資などによって見通しが立っていることを明らかにしました。また、CAIJによる事業計画についての説明も行われました。 その後、事業用不動産サービスで世界最大手「CBRE(米国)」が支援すると明かすなど、最終調整が続いています。
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国の認定を得られた場合には、2023年に着工し2027年の開業を目指すとしています。親会社の社会的な信用を武器にしながら、最終調整を続けています。