カジノ売上の低迷が響く、マカオ住民の2020年の平均収入が約40%減少

新型コロナの影響でマカオ全体の売上が下がる

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世界最大規模のカジノ売り上げを誇るマカオで、住民における2020年の平均的な収入が約40%近く減っていたことが、マカオ政府統計調査局の発表で明らかとなりました。

これは、2021年12月23日に発表された最新の統計データでわかったものです。新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年における、マカオの住民(個人及び機構を含む)が各種経済活動によって得た総収入に関するものです。マカオにおける総収入は2425.6億マカオパタカとなり、日本円にして約3兆4542億円となりました。これは、マカオ特別行政区のGDPよりも日本円にして約5433億円多く、マカオ域外での収入が多かったことを意味しています。

そんな中で、マカオ住民の一人あたりの平均収入は35万6001マカオパタカとなり、日本円にして約507万円となりました。また、一人あたりのGDPは日本円で約427万円となっています。

この数値は、前年度から平均収入で39.9%の減少、また一人あたりのGDPとしては54.5%の減少となっています。

カジノの街、マカオの特殊な構造

マカオは人口が約68万人と発表され、総面積は山手線の内側のおよそ半分ほどの広さとなり多くの住民がカジノに関する職業についていると言われています。

2020年は新型コロナウイルスが世界的な流行をした時期で、マカオのカジノも多くが売り上げを激減させました。しかし、2021年にはカジノ売上が増加傾向にあり、11月までの総売上げは前年よりも約50%以上増えています。新型コロナウイルスの影響も徐々に薄れ始め、売り上げは増加傾向にあり住民の平均収入も合わせて増えていると思われます。

ただ、マカオで主にVIP向けのサービスを提供しているジャンケット業務の大手『サンシティ・グループ・ホールディングス』の最高経営責任者「周焯華」が逮捕されたことを受けて大混乱が起き始めています。

『サンシティ・グループ・ホールディングス』は、この逮捕を受けて2021年12月10日をもってカジノ施設にVIP客を案内するジャンケット業を停止することになりました。

マカオのカジノ施設で大きな売り上げを締めているVIPルームに関する騒動のため、せっかく戻った売り上げが戻ってしまう可能性もあります。

2021年12月22日には、中国の習近平国家主席がマカオ政府の賀一誠行政長官と会談を行って、マカオ経済の問題点が明確になったと指摘しました。そのうえで、経済の多様化を進めるように促したとされています。

この発言は、マカオにおいてカジノ産業に依存している今の状態から脱却させる狙いがあるのではないかと言われています。

2022年以降、世界最大規模の売り上げを誇るマカオのカジノが、習近平国家主席が率いる「中国の中央」によってどんな思惑でコントロールをされるのか、注目が集まります。

【参考】マカオ政府統計調査局