アメリカのカジノ業界で深刻な人手不足に直面

経験者にはボーナスや特典を提供する施設も

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コロナ禍からの回復が見られるアメリカのカジノ業界では、深刻な人手不足となっています。その現状を紹介します。

新型コロナウイルスによる「コロナ禍」から回復しつつあるアメリカのカジノ業界では、人手不足を補うべく従業員を積極的に雇い入れる動きが出ています。

アメリカのカジノ業界、全国的に積極採用を開始へ

コロナ禍による営業休止などを受け、一時は従業員の大量解雇などが相次いでいたカジノ業界ですが、終息に向かうにつれて各社とも法令を遵守する形で施設の営業を再開。しかしいざ本格的な営業再開となった段階で、深刻な人手不足に直面することになりました。

これは、コロナ禍でカジノ業界を去った元従業員たちの多くが、すでに別の仕事に就いているためだと考えられています。こうした事態を受け、カジノ施設を運営する各社ではコロナ禍前に比べて高い報酬を用意するだけでなくボーナスや各種特典などを用意し、経験者を招き入れようという動きが出ているようです。

たとえば、バージニア州に建設予定の「リバーズカジノポーツマス」は、まだオープンしていないにもかかわらず2022年5月に就職説明会を開催。このことは、それだけ前倒しで採用をスタートさせなければ人材が確保できないことを意味しています。

こうした事態を受け、2022年6月2日にはニュージャージー州アトランティックシティにある「アトランティックシティ・コンベンションセンター」で、近隣にある9つのカジノすべてが集まる形での採用フェアを開催。

業界全体として、従業員の確保に乗り出しています。2022年夏に仮設カジノのオープンを予定している「ハードロック・アトランティックシティ」の場合、カジノ関連の事業部門だけで2000名以上のスタッフが必要ですが、現時点でその数は確保しきれていないといいます。

同社の手がける仮設カジノでは、900台のスロットマシンに加え、20台のテーブルゲーム、さらにはスポーツベッティングなども提供する予定となっており、施設面積も3万平方フィートにも及ぶことから最低600人程度の人材を確保する必要があるからです。

そのため、「ハードロック・アトランティックシティ」は2022年5月に採用活動を強化。それでも応募者が少なかったため、現金で採用ボーナスを用意し基本給についても時給15~17ドルと相場よりも良い待遇であることをアピールして応募を促しています。

その甲斐あってか、2022年6月1週目に行われた採用イベントでは、40人の人材を新たに確保。その場で採用ボーナスとして2000ドルを支払うことを約束したそうです。

それでも現時点での採用者は約400人と仮設カジノのオープンに最低限必要となる600人に満たない状態となっているというのが実情です。

こうした動きは、「ハードロック・アトランティックシティ」に限らず、たとえば「シーザース・エンターテイメント」が「ホースシュー・ボルチモア」で100人ほど従業員を募集しているほか、デトロイト州の3つのカジノではいずれも人手不足で随時採用をしています。

さらにニューヨークの「ターニングストーン・リゾート&カジノ」などの場合は、未経験者やスキルアップ転職を目指す人たちを対象に、「サマーディーラースクール」まで開催し、スタッフの確保に総力を挙げているそうです。 今後、アメリカのカジノ業界では人材確保をうまく行うことができるのか?注目されています。