カジノ大手「シーザーズ」が従業員のための教育支援プログラムを発表

年間最大5250ドルの学生ローン返済の拡大も準備へ

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ラスベガスのカジノホテル「シーザーズ・パレス」は、従業員とその家族に向けて骨太の教育支援プログラムを発表しました。詳細をお伝えします。

アメリカのネバダ州ラスベガスにある有名なカジノホテル「シーザーズ・パレス」が、従業員のための教育支援を強化した「新プログラム」を発表。その充実した内容が注目を集めています。

扶養家族への奨学金の機会創出など金銭面での支援

これは、同カジノがプレスリリースで発表したもので、今回の新案「オール・イン・オン・エデュケーション」は、約5万人の従業員に対して学生ローンの債務返済や、学費の援助、扶養家族への奨学金の機会創出など金銭面での支援となっています。

とりわけ目玉となっているのが、授業料の補助制度。こちらは年間で最大5250ドルを補助する予定だとしています。

今回、同カジノがこうしたプランを発表した背景には、アメリカで学生ローンを巡るトラブルや貧困問題などが社会問題化し、政治の争点となっているからです。

多くの人々に重くのしかかる問題となり、実際に現在の米国では4600万人もの人々が学生ローンを抱えている状態にあると言われています。その総額は1兆7500億ドルという、にわかに信じ難い規模のものとなっています。なお、この額はGoogleの親会社であるAlphabetの時価総額1兆5400億ドルを上回っています。

シーザーズ・パレスは独自の支援策を提案

そのためバイデン政権の誕生に際しては、左派の政治家や保護者などから学生の負債を大幅に軽減させることへの期待が寄せられていました。

しかし、実際には最近になって借り手から1万ドル程度の負債を免除するという、まったくもって期待はずれの計画が浮上する程度であるというのが実情です。

また、大学にかかる費用に制限を加えるという別の方策についても、かねてより提案はされていますが政治家は大学を大きな票田としているため実現する見込みがない状況にあるそうです。

そうしたなか、ネバダ州では2010年から2020年にかけ学生ローンの債務が155%という驚異的な伸び率となっています。1人あたりの平均負債額は約3万4000ドル、総額115億ドルにも上るとされ、多くの州民が返済に苦労している状況にあります。

「シーザーズ・パレス」の経営陣は、こうした状況に着目し福利厚生の意味も込めて今回の新プログラムを採用したようです。

従業員に対してさまざまな形で収益の分配を行っているラスベガスのカジノ。日本でも、カジノを含む統合型リゾートが開業した際には、参考にして欲しいところです。