和歌山IRのカジノ事業者「シーザーズ・エンターテインメント」はどんな会社?

豊かな経験とノウハウでカジノ事業の大手として君臨

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和歌山県が進めているカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致について、アメリカの『シーザーズ・エンターテインメント』が事業に参加することになったことが2021年9月に公表されました。

和歌山県は、すでにカナダの投資会社である『クレアベストグループ』が事業主体を担当することが決まっていますが、コンソーシアム(共同事業体)として『シーザーズ・エンターテインメント』の参加を発表しました。

シーザーズ・エンターテインメントとはどんな会社?

この『シーザーズ・エンターテインメント』は、1937年に設立された複合型リゾート運営企業大手で、本社所在地はラスベガスです。世界各地で50以上のIR施設を展開し、ホテルや各種リゾート、MICE、劇場やライブ会場、そしてカジノなど、IR全般に関わる運営を手がけています。また、長い歴史の中でエンターテインメント事業の豊富な経験と蓄積には定評があります。

しかし、その道のりは常に順調だったわけではありません。いわゆるリーマン・ショック後の世界経済が落ち込む中、『シーザーズ・エンターテインメント』も業績が悪化し、2015年にはシカゴの連邦破産裁判所に破産法第11章(日本の民事再生法に相当)を申請するほど売り上げは落ち込みました。

その負債は約184億ドル、日本円で約2兆円といわれています。たいへん大きな負債を抱えての再スタートでしたが、カジノ以外に多種多様なエンターテインメント事業を手がけてきたノウハウ等により、2017年10月には再生を完了し経営再建を果たします。

この頃から、日本で展開をするカジノを含む統合型リゾート(IR)について『シーザーズ・エンターテインメント』は興味があると取り上げられるようになっていきます。

2019年2月には、北海道の札幌で開催された『第70回さっぽろ雪まつり』において、地元のクリエイティブコンベンション『No Maps』とのコラボレーション企画を実施。テーマである『未来の雪まつり』を題材にした展示などが行われました。このイベントでは、シーザーズ・エンターテインメント・ジャパン代表のウィリアム・シェン氏が、子供たちと一緒に『未来の雪だるま』を描く様子なども報じられました。

しかし、2019年8月に『シーザーズ・エンターテインメント』は日本の事業から撤退を表明します。先行きが不透明な日本よりも、アメリカ国内での事業を固めるためではといわれました。

そして2020年から、新型コロナウイルスが世界中を襲いました。シーザーズ・エンターテインメントもふたたび苦難に遭遇することになりました。

それでも最近の報道では、今年に入ってからのアメリカ経済の回復とともに、シーザーズ・エンターテインメントもまた順調に業績を復活させているとのことです。

直近の第2四半期の決算では7100万ドルの純利益を出し、運営するラスベガスのホテルも週末には稼働率が99パーセントまで回復していると報じられています。

メディアの中にはカジノ運営会社と報じるケースがあるようですが、むしろ総合エンターテインメント企業と表現するのが正しいかもしれません。

そんな勢いを取り戻している『シーザーズ・エンターテインメント』が、和歌山県と組んでどのようなカジノ事業を展開する計画をしているのか?注目が集まります。