和歌山県のカジノを含むIR事業に関して住民説明会が延期へ

議員からさまざまな不透明性を指摘される

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和歌山県が『クレアベストニームベンチャーズ』、カジノ大手『シーザーズ・エンターテインメント』と共に進めているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致に関して、県議会から不満の声が挙がっています。

これは、2021年11月19日に行われた県議会の特別委員会で『クレアベストニームベンチャーズ』の担当者が出席し事業内容を説明した際に議員から「運営体制が不透明だ」などの批判的な意見が出たものです。

『クレアベストニームベンチャーズ』は、約4700億円と想定されている初期費用について、「メガバンクなどと交渉を進めている」と話しながらも資料を提出しませんでした。これに対して、議員からは「実現性が信用できる説明ではない」との意見が挙がったものです。また、事業に関しての説明も不透明だとされています。

これを受けて、県は各所で2021年11月25日から12月5日にかけて行う予定だった住民への説明会とパブリックコメントを延期すると発表しました。現状では、運営体制を見直した後の2022年1月ごろを目処に改めて説明会などを実施する予定と発表しています。

和歌山県では2021年10月9日に「IR対策特別委員会」が開かれていて、その会議でも事業の安定性、継続性などを疑問視する声が上がり、『クレアベストニームベンチャーズ』に説明を求めていました。今回、議員たちの賛同を得ることができずに、このままでは住民に説明をするべきではないとの意見が多かったようです。

県の田嶋久嗣IR担当理事は地元マスコミの取材に対して、2022年の2月議会に向けた計画案の提出に間に合わせるために、調整を急ぎたいという発言をしています。

さらに、和歌山県では市民団体の「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」が、今回の「和歌山マリーナシティ」へのIR誘致計画について、地元住民への説明が不足していて、もっと意見を聞くべきだとして、「是非を問う住民投票」に向けた署名活動を行っている所です。この署名活動は2021年12月5日まで和歌山市内の街頭や個別訪問で実施されています。2021年11月14日時点で、署名が有効となる有権者の50分の1にあたる約6200人に対して、半分近い3000人以上の署名が集まっています。

大幅にスケジュールが狂ったことになる、和歌山県のカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致計画。県は国へのIRに関する区域整備計画の提出期限となる2022年4月28日までに間に合わせる方針だと発言をしています。 大本命の大阪府・市に近い立地のため当初から不利だと言われていた和歌山県。県内でも足並みが揃っていないことを露呈してしまっただけに、マイナスイメージは避けられない結果となったようです。