統合型リゾート(IR)って何?

カジノだけじゃないIRの中身を紹介

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ここ最近、テレビのニュースや新聞でよく見かけるのが『統合型リゾート(IR)』という用語。なんとなく、解ったつもりになっている人も多いのではないでしょうか?

この、『IR』に関しては『Integrated Resort』の頭文字を取ったものです。ニュースなどでは『統合型リゾート』を付けないで、『IR』とだけ紹介されることもあります。

統合型リゾート(IR)とは、正式には『特定複合観光施設』と言われ、すでに成立した法令『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)』では、次のように規定されています。

第二条 
この法律において「特定複合観光施設」とは、カジノ施設(別に法律で定めるところにより第十一条のカジノ管理委員会の許可を受けた民間事業者により特定複合観光施設区域において設置され、及び運営されるものに限る。以下同じ。)及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となっている施設であって、民間事業者が設置及び運営をするものをいう。
この法律において「特定複合観光施設区域」とは、特定複合観光施設を設置することができる区域として、別に法律で定めるところにより地方公共団体の申請に基づき国の認定を受けた区域をいう。
特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律より引用

ここで言う、特定複合観光施設を構成する施設としては次のようなものがあります。

  • 宿泊施設(ホテル、コンドミニアム等)
  • 商業施設(ショッピングモール、アウトレットモール、デパート等)
  • 飲食施設(レストラン、カフェ、バー、フードミュージアム等)
  • 劇場・多目的ホール。映画館
  • アミューズメント施設(テーマパーク等)
  • 各種スポーツ施設(ジム、プール等)
  • 温浴施設(スパリゾート、サウナ、マッサージ、エステティック等)
  • 博物館
  • カジノ施設 ・MICE施設

この中で重要な施設として挙げられるのが『MICE施設』です。MICE(マイス)とは、企業・団体等の会議(Meeting)、企業・団体等が実施する報奨・研修旅行、セミナー(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が実施する会議や会合 (Convention)、各種展示会・見本市、イベント等(Exhibition/Event)の頭文字をとった言葉です。収容能力の大きな大会議場や展示会場などがあげられます。

こうした会合やイベントは、大人数のグループが利用することが多いことから経済効果が期待できる可能性が高いと予測されます。また、海外の要人などを招いた際に、実際にカジノでも遊んでもらいPRをしてもらえるチャンスもあります。このように、従来よりもさらに規模が大きく、かつ多様なユーザーを想定した施設が統合型リゾート(IR)です。

実際にはどんなIRがあるのか?

統合型リゾート(IR)の具体的な実例としては、マカオ、ラスベガス、シンガポール、フィリピンのセブ島などがあげられます。

その統合型リゾート(IR)の推進について、現在日本で活動している地域は大阪、長崎、和歌山があげられます。

大阪府

まず大阪は、統合型リゾート(IR)やカジノが日本で話題になり始めた早い時期から候補地として名乗りを上げていました。2025年に開催予定の万国博覧会とセットでスタートを予定していましたが、現状では難しいと考えられます。それでも、観光や商業などの産業面でのノウハウの蓄積や知名度、海外からのアクセスの良さ、さらに立地に十分な土地の確保ができているなど実現に有利な条件をいくつも有しています。

懸念される要素としては、候補地である夢洲への交通アクセスでしょう。現在、大阪の中心部から夢洲には道路と鉄道いずれについてもインフラ整備が十分とは言えない状態です。

今後、交通施設をいかに整備していくかは大きなポイントとなります。現在は、それらの問題点をアメリカの『MGMリゾーツ・インターナショナル』と『オリックス』の共同体グループをIR事業者に選定して、調整をしています。

長崎県

長崎はテーマパークのハウステンボスを候補地として掲げています。すでに稼動しているインフラを利用することにより、初期投資を抑えられるとアピール。

中国・韓国から3時間以内というアクセスも良く、海外からの観光客に対するアピールとしてはとても有利でしょう。しかしその反面、シンガポールやマカオといったアジア圏にあるカジノ施設といかに差別化を図るかという大きな問題もあります。

現在は世界で唯一の国営企業で、カジノ事業者として最大規模を誇るオーストリアの『カジノオーストリアインターナショナルジャパン(CAIJ)』と、2021年8月30日に基本提携を結び調整をしています。

和歌山県

和歌山も既存のリゾートであるマリーナシティを候補地として、豊かな自然の中で長期滞在できるリゾートという構想を前面に出してアピールしてきました。

しかし、知名度や規模について大阪に見劣りしてしまうことなどから、やや苦戦を強いられている状況です。現在は、2021年8月にカナダの『クレアベストグループ』と基本協定を締結し、国への申請に向けて調整をしています。

ともあれ、これまで日本にはなかったリゾートを作り上げるわけですから、先行きが険しいのは仕方の無いことかもしれません。今後の動向に、注目と期待が寄せられています。