シンガポール政府観光局は2022年9月19日、クルーズ船やフェリーなどの発着に必要な新たな施設を追加設置すべきか否かを検討していることが明かとなりました。
観光業を復活させるため
これはシンガポールの「ストレーツ・タイムズ紙」などが報じているものです。
それによると、陸上のカジノのみならず、カジノクルーズを行う客船が数多く発着していることでも知られているシンガポールで、コロナ禍からの経済復興において、こうしたカジノ関連の事業をはじめとするインバウンド観光市場の復活が大きな鍵になると考えられているとのことです。
また、コロナ規制緩和後の現在は、すでに多くの観光客が戻っているため、カジノクルーズを行う大手数社が、所有する船舶をシンガポールへと移動させるという動きが出ているといいます。
こうした動きは、香港やマカオといった同じアジア圏を拠点とするカジノ産業が、しばしば新型コロナウイルスの感染拡大により、営業休止と再開を繰り返したことで、混迷の度合いを深めていることも大きく影響しているようです。
香港発着のカジノ船を運航しているロイヤル・カリビアンなどの場合は、8ヶ月ほど前から香港当局に対し運航再開のための交渉を行っていることが報じられていました。しかし、正式再開許可を待たずに1隻のカジノ船をシンガポールへと移動させたといいます。
カジノ関係者が注目しているシンガポール
2022年5月には、マレーシアの富豪として知られるリム・コク・タイ氏が一族で設立し、コロナ禍によって深刻な打撃を受けて清算することとなったゲンティン香港のクルーズ事業と入れ替わる形で、シンガポール拠点で同様のサービスをスタートさせることを発表しています。
今回の施設追加に関する討議は、こうした世情に反応する形で行われていると見られていますが、仮に追加が正式決定されることになればコロナ禍からの脱却で遅れをとる“かつてのクルーズ船のメッカ”香港に対して、大きなアドバンテージとなりそうです。