大阪府・市が候補地を「夢洲」として進めている、カジノを含む統合型リゾート(IR)の開業計画。事業者には、「日本MGMリゾーツ」と「オリックス」を中心として設立した「大阪IR株式会社」が指定されています。現在、日本ではじめてとなるカジノ開業に向けて、さまざまな調整が行われています。
市はこれまでの説明と齟齬はないと公表
その大阪で、予定地となる「夢洲」などの不動産鑑定を巡って、これまで大阪市が「不存在」と回答していたメールが見つかり問題となっています。
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大阪のカジノを含むIR用地の賃料鑑定評価に関連するメールが発見される
大阪のカジノを含む統合型リゾートを建設する予定の夢洲について、無いといわれていた土地鑑定評価に関する不動産鑑定業者とやりとりしたメールの存在が明らかとなりました。
大阪港湾局は2023年7月14日に、鑑定業者らと交わした198通のメールを公開しました。今回公開されたのは、2019~2020年度のメールや添付資料など約1200枚の公文書です。
大阪市は、事業予定者に土地を貸し出すために、賃料の査定を不動産鑑定業者4社に依頼しています。その提示額について、業者のうち3社が1平方メートル当たり「月428円」で一致したことが不自然だと指摘されていました。
港湾局は、4社中の1社から「IR事業は評価の考慮外とすべき」という提案を受け、条件をそろえた方がいいとの助言をされたと説明。残る3社と確認した上で、「考慮外」と決定したと明かしていました。
市に対して、提示額についての疑惑を晴らすため、市議会などから情報公開請求で過程がわかるメールや資料の公開を求められていました。しかし、大阪港湾局はメールや資料が「存在しない」と回答。しかし、外付けハードディスクに保存されていたことが判明し、今回のメールや添付資料の公開に繋がっています。
公開したメールは、現地のテレビ局や新聞社などが確認したところ、これまでの大阪市の説明を裏付けるやり取りが見つかりました。ただ、市が業者に送った概要を尋ねるシートの「付加条件」に「IRを考慮外とする」という記載がされていたことがわかりました。
業者側の提案を受ける前に、市から各社に条件を提示した証拠となり、一部説明と食い違いがあると指摘されています。しかし、市はこれまでの説明と齟齬はないと公表しています。
記者の一言メモ
大阪のカジノ開業について、存在しないと言われたメールが見つかったことで問題視されています。今回、メールが公開され大阪市からの不当な指示や誘導の形跡は見つかりませんでした。今後、新たな問題が見つかるのか、注目されています。