大阪府・市が進めている、候補地を夢洲としたカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業計画。事業者には「日本MGMリゾーツ」と「オリックス」を中心として設立した「大阪IR株式会社」を指定しています。日本ではじめてカジノができることになり、大きな注目を集めています。
不動産鑑定業者とやりとりしたメール約200通など
今回、カジノを含む統合型リゾートを建設する予定の夢洲について、大きな問題が起きています。大阪港湾局が2023年7月3日、建設予定地の土地鑑定評価に関して不動産鑑定業者とやりとりしたメール約200通などの存在が明らかになったと発表。
発見されたのはメールと添付文書で、いずれも2019年度と2020年度に業者などとやり取りしたものだとしています。これらのメールは、公文書として市が管理しているシステムに登録する必要がありましたが、その対応を怠っていたとしています。このメールについては、用地の賃料を決める鑑定評価額を巡って、これまで「存在しない」と説明していたものでした。
夢洲については、賃料が「不当に安く設定」されているとして、2023年4月3日に「定期借地契約の締結差し止め」を求める訴訟を大阪地裁に起こされていました。夢洲の「49ヘクタール」の市有地について、業者に貸し出すとしている賃料が安すぎるとしているものです。
大阪市は、事業予定者に土地を貸し出すにあたり、賃料の査定を不動産鑑定業者4社に依頼。その提示額について、業者のうち3社が、1平方メートル当たり「月428円」で一致したことが不自然だと言われていました。
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大阪のカジノを含むIR誘致、夢洲の賃料に「定期借地契約の締結差し止め」を求める訴訟
大阪府・市が進めるカジノを含む統合型リゾートの誘致計画について、大阪市民が候補地・夢洲の賃料について「定期借地契約の締結差し止め」を求める訴訟を大阪地裁に起こしました。
市には、この疑惑を晴らすためにも市議会などから情報公開請求で、過程がわかるメールや資料の公開を求められていました。その際に、大阪港湾局は「存在しない」と回答。今回は、その存在しないはずのメールが見つかった形になります。大阪市の横山英幸市長は、地元テレビ局の取材に対して、「メールが見つかったことで、これまでの説明に齟齬が生じたわけではない」とコメントしています。職員の認識不足という説明となり、大阪港湾局では、今後は研修などを実施して再発防止に努めると発表しています。
記者の一言メモ
カジノ開業について、候補地になる夢洲の賃料はかねてから適正なのか疑問視する声が多くありました。今回、無かったはずのメールが「実はあった」ことになり、問題に発展していく可能性が高くなっています。
【詳細】ABCニュース「IR用地の賃料鑑定評価めぐるメール198通を発見 「存在しない」回答の大阪港湾局が謝罪 担当職員サーバーから削除後に外付けHDで保存も周囲に伝えず」