カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致計画を進めている長崎県で、市民団体によって誘致に関するコンサルタント業務委託費の「公金支出差し止め」を求めた裁判が長崎地裁で開かれました。
候補地をハウステンボスとして誘致計画を推進
長崎県は国に対して整備計画を提出し、候補地をハウステンボスとして誘致計画を推進しています。同時期に整備計画を提出した大阪府・市は認定を受けていますが、長崎県に関しては審査を継続すると発表されています。斉藤鉄夫国交相は記者会見で、「審査委員会において引き続き審議を行っているところ。審査を継続している具体的な理由については審査中のため答えを控える」とコメントしているところです。
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大阪はカジノを含むIR認定を受けるが、長崎県は継続審査でスケジュール見直し
国はカジノを含む統合型リゾートの誘致計画について、整備計画を提出した長崎県に認定を見送り審査を継続すると発表。詳細をお伝えします。
その長崎県で、市民団体が約1億1000万円の業務委託契約について、「資金調達の確実性を欠き、IR計画が認定されることはない」として、委託費の支出は違法と主張した裁判が行われています。
長崎県は誘致計画の事業者に「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)を指名し、2027年度の開業を目指しています。CAIJなどが出資する特定目的会社「KYUSHUリゾーツジャパン」も設立し、運営の主体的な企業になると公表。その計画の中で、県が国の審査に対応するため法律事務所などと契約を締結しているとされています。
2023年5月16日に、第2回口頭弁論が行われ、原告は資金調達の確実性を裏付ける資料として、県に対して融資に関する「意向表明書」といわれるコミットメントレターの提出命令を出すよう裁判所に求めています。
この主張に対して県の担当者は、地元テレビ局などの取材では「国の審査プロセスに入っており、認定を受けるための業務委託は合理的」として争う姿勢を見せています。
「ストップ・カジノ!長崎県民ネットワーク」の今井一成弁護士は、「税金なので無駄なお金を扱ってもらいたくない」と、今後も追求をしていく構えを見せています。また、原告は2023年5月中に委託費が支払われるので、今後は「損害賠償請求」に切り替えて争う方針を会見などで明らかにしています。
次回の裁判は2023年7月18日に行われる予定で、国の審査と合わせて地元住民との調整も長崎県は必要となっています。
記者の一言メモ
国から認定を受けた大阪も地元住民とさまざまな調整を行っていますが、長崎県もまた問題を抱えています。国からの認定もおりていない中で、どう調整をしていくのか注目していきます。