日本にカジノができるメリット・デメリットとは?他国の事例も

カジノがもたらす良い所と悪い所を整理しよう

公開日:

scroll

カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致に向けて、大阪府・市、長崎県、和歌山県が手続きを進めていますが、そもそもカジノがオープンしたら我々日本人にはどんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

日本にカジノができるメリット

まず、メリットとして考えられるものを取り上げてみしょう。

外国人観光客増加による増収

カジノは外国人観光客に対して、強い集客効果が得られる可能性を持っています。カジノに集まった外国人観光客がIR全体の売り上げに寄与することは充分に考えられるため、周辺事業も含めて高い経済効果を生むものと期待できます。

雇用創出による労働市場の活性化

カジノだけでも多くの従業員を必要とします。たとえば、フロント・受付やディーラー、案内などをするコンシェルジェ、さらにスロットマシン等のメンテナンスを担当するメカニックなど、いろいろな人が就業することになり新たな雇用が発生します。

ホテルやレジャー施設を作るIR全体となれば、さらに多くの雇用が新たに生まれる可能性が大です。ちなみに、長崎県のIRに関する事業予定者の『カジノオーストリアインターナショナルジャパン(CAIJ)』の試算では、IR関連の施設内で働く従業員などは「1万人程度」の雇用が計画されていると発表をしています。

インフラ整備による経済活性化と生活環境向上

カジノをはじめIR施設を建設するとなれば、大きな事業プロジェクトとなります。ゼネコンや金融機関、各種関連業種が動くことなりそれだけでも経済効果と雇用創出に大きな影響を与えます。

さらに、交通インフラが整備されることによって、生活環境が向上することも考えられます。新しい鉄道の開通や既存の路線の増発・ダイヤ改正、新駅の設置、道路の開通や拡張、バス路線の拡張や増発などによって、地域の生活がより便利になるといった可能性があります。

税増収による財政健全化

カジノを含む統合型リゾート(IR)の展開によって地域経済が活性化すれば税収はアップします。

税収が増えて自治体の財政健全化が推進されれば、サービス向上など地域の住民や消費者、事業者にとって多くのメリットが発生する可能性が出てくると考えられます。

日本にカジノができるデメリット

次にデメリットとしては、次のようなものがあげられます。

ギャンブル依存症になる人の増加

多くの自治体で問題視されているのは、ギャンブル依存症になる人が増加するのではという指摘です。たしかにカジノで行われるゲームによって多額の現金を手にできる可能性が高いことから、依存症の増加が懸念されることも充分に考えられます。

ただ、日本にはすでにパチンコや競馬、競輪、ボートレースなど法律で認められたギャンブルがあります。それらのギャンブルではいまのところ深刻な依存症は起きていない、またはそのサポートやカウンセリングも整備されており大きな社会問題になってはいません。カジノが実現したからといって、すぐにギャンブル依存症の人が増加するとは思えない現状です。

治安の悪化

カジノを含む統合型リゾート(IR)は24時間営業、年中無休というケースが基本になっています。また、カジノには文化や生活習慣、マナーなどが異なる外国人観光客が数多く訪れることが予想されています。
たしかに、過去に外国人観光客が施設内で消火器を噴霧したり、公共物に落書きをしたり、さらに窃盗や傷害などの事件を起こしたという例はいくつもあります。

しかし、そうした事例はカジノに特定されるとは限らないという指摘など、さまざまな意見があって一概に治安が悪化する根拠になるかどうかは疑問です。

マネーロンダリングの可能性

カジノでは多額の現金がやり取りされるため、その流れの一部を使ってマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用される危険性があるという指摘があります。

実際、海外のカジノでマネーロンダリングが行われていたという疑惑があります。

カジノではチップや両替チケットなどを現金と交換するなど、金融機関を介することなく現金がやり取りされています。これを悪用して、ダーティーな現金をカジノに持ち込んで、ゲームで発生したように見せかけて、カジノ内で換金してマネーロンダリングを行う、などの手口が考えられるでしょう。

そもそもカジノが無い日本では、これからもメリットやデメリットが多く出てくると思います。特にデメリットに関しては、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致の反対派の意見としてマスコミなどでも報じられることがあります。

まずは、メリット・デメリットともに良く理解して、より良いカジノを含む統合型リゾート(IR)を作ることを、我々も意識して学んでいく必要があると思います。

シンガポーツのカジノ解禁事例

シンガポールは2005年にカジノを正式に解禁しました。それまでギャンブルには厳格な規制がありましたが、経済成長の加速と観光産業の強化を目的に、カジノを含む統合型リゾート(IR)の建設を認める決定がなされました。

解禁にあたっては、政府が厳格な管理体制を敷き、地元住民に対する入場料を課すなど社会的影響を最小限に抑える措置を導入しました。

カジノ解禁は観光業の飛躍的な成長をもたらし、シンガポール経済に大きく貢献しています。また、依存症対策や法的規制も強化されており、厳しい管理のもとで運営されています。