和歌山県・市が「和歌山マリーナシティ」を候補地として進めていたカジノを含むIRの誘致計画。事業者はカナダ『クレアベストニームベンチャーズ』と、カジノ施設を運営する『シーザーズ・エンターテインメント』を指名して進めていましたが、県議会は区域整備計画の承認議案を反対多数により否決しました。
知事は「またチャレンジしたらいい」
県議会は2022年4月20日、事業者がIRに関してまとめた「区域整備計画」について臨時議会で審議を行い、賛成18票、反対22票で反対多数となり否決されました。
これまで推進派だった仁坂吉伸知事は、「残念ながら次の成長因子を失った状態になりました」と無念の言葉を公開し、「またチャレンジしたらいい」とも語りました。
今回の審議では、これまで推進派だった自民党の県議からも資金調達の不透明さを指摘する声が多く出ていました。県と事業者は資金調達先などを明確にできず、住民説明会や公聴会がライバルとなる大阪や長崎に比べて遅れる事態にもなっていました。
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和歌山で、「区域整備計画案」に関して、市議会の臨時会本会議で賛成多数で可決され、県議会での同意を得るだけの状態となりました。
スイスの金融大手クレディ・スイスが提出した資料は融資を確約するものではなく、これまで数社名乗りを上げていた企業も明確な出資額などが明かされないまま「区域整備計画」は作成されました。
説明会などでも4700億円という巨額の初期費用が本当に集まり、その上でしっかりと回収できるのか疑問の声が出ていました。また、今回のカジノを含むIRの大本命とも言える大阪と立地的に近いこともあり、どう差別化を図るのかが課題になっていました。 自民党の山家敏宏県議は「信頼性のある事業で利益を生むのであれば、和歌山県の金融機関、企業などが参入するはず」と辛辣な意見を述べました。
地元からの理解が得られない結果に
今回の事業では、施設名を「ThePACIFIC」とし「和歌山の自然資源と世界最先端のテクノロジーの融合」をテーマに掲げていました。カジノの他にも、ビーチリゾートやeスポーツを競い合う施設なども建設予定として地元の理解を得ようとしましたが、失敗した形となりました。
仁坂知事はマスコミの取材に対して、追加募集があった際にはチャレンジしたいと語っています。はたして、その時までにしっかりと地元の理解を得ることができるのでしょうか?