横浜市が正式にIR誘致を撤回したことで、注目を集めているのが関東におけるIR構想の未来です。現在は、IR事業者の選定を進めている大阪府・市、長崎県、さらに誘致に積極的な和歌山県など、西日本が中心となって誘致活動に熱心でかなり偏りのある状態になっています。
そこで注目されるのが、過去にIR構想をかかげていた東京都です。実はもうお忘れの読者の方もいるかも知れませんが、東京都は1999年頃の石原慎太郎知事が「お台場カジノ構想」を計画していることを公表していて、横浜よりも早く首都圏でカジノ誘致を進めようとしていました。この石原氏の発言を元に、国会議員の間でもIR構想に関する研究が進められ、現在の誘致に向けた国の動きの原点となっているんです。
小池知事でストップしていた東京都のIR構想
現在の小池百合子知事は、IR誘致に関しては「メリット・デメリットをしっかりと検討する」と話し、誘致に関しては推進も反対も態度を取らないどっちつかずな状況を続けています。というのも、小池知事には東京五輪の成功という大きな課題がこれまではあったため、IR構想を大きく動かす余裕がなかったのだと推測できます。
しかしそんな東京五輪が終わったいま、東京のIR誘致に関する動きがありそうだと話題となっています。それは、IRやカジノに関して積極的に活動をしてきたセガサミーホールディングスの幹部の発言でした。
セガサミーホールディングスは横浜市のIR誘致に関して積極的に活動を続けてきました。今回の横浜のIR撤回があったことで同社の今後の動きが注目されていました。
最新の決算説明会の場所でIR構想について株主より質問を受けた際にセガサミーホールディングスの幹部は「IR事業から撤退するという選択肢はない」と話しながらも、東京都など過去に誘致表明をして手を下げた自治体が動き出す可能性は高いと発言をしたのです。
これがオフレコな発言なら噂レベルの話となりますが、決算説明会という公の場での発言だったため、マスコミや関係者が東京都はIRに向けて動き出すのではないかと騒ぎ始めたのです。
候補地だったお台場が再開発を始めている
また、東京都が今回の東京五輪について、新型コロナウイルスの影響で思ったような観光客誘致や税収アップを望めなかったことも原因となります。経済を回復させるために東京都がIR誘致を行うのは非常に理にかなっています。
さらに、当初から東京都のIR誘致の候補地と言われたお台場では、『大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ』や『パレットタウン』などが営業終了するなど、再開発が進む動きが出始めています。現在、お台場のエリアは森ビルやトヨタ、フジテレビなどの大企業が東京都と区分けをするような形で地権を持っています。これらを、東京都がまとめ始めているとしたら、やはりIR誘致に関しての動きも考えられるようになってきます。
関東でIR誘致をするならばやはり東京が最有力
どの自治体も今後はIR誘致のスケジュールとして2022年4月までにIR事業者の決定、整備計画を国に申請を行わなければいけません。また、2022年の5月頃から国が選定作業に入って、最大で3箇所を想定して決定するとしています。その後に2020年後半に自治体が順次開業していく流れとなります。
そうなれば、今年中にも東京都が東京五輪で収益が上がらなかったことを説明した上で、いま一度IR誘致を進める可能性はあると思われます。
特にお台場は横浜市のIR誘致の候補地だった山下ふ頭ほどに地元の住民が近くに住んでいなく、離れ小島になっていることから調整もしやすい土地となっています。また、過去にIR構想を立ち上げていることもあり、他の自治体よりもすんなりと再度提案をすることは簡単だと言えます。
今後、なかなか主軸となるコンテンツを生み出せないお台場を生まれ変わらせるには、IR構想が必要となるのは間違いないところ。東京都の、そして小池知事の動向から目が離せなくなりそうです。