長崎県と佐世保市がハウステンボスを候補地として進めているカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致計画。現在は、「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)を事業者として、2022年4月28日が締め切りとなる国への区域整備計画申請の準備を進めています。
2021年12月17日には長崎市で事業に関する説明会が行われました。事業概要を説明したCAIJからは、「この地が日本の地方創生型のシンボルとなるように大きなまちづくりに貢献したい」と明かされました。
説明会に参加した企業関係者や市民からは、ギャンブル依存症や治安に関する意見が出ました。また、市民からの声を聞きながら進めている印象がないと、厳しい意見も挙げられました。
県は、ギャンブル依存症に関しては日本人には6000円ほどの入場料を課すことや、1週間に入場できる回数を制限するなどの対策を予定していると説明しました。
資金調達はうまくいくのか?
今回のハウステンボスへの誘致は、2027年の開業を目指しています。県議会や市民からも、カジノを含むIRを開業するための資金がきちんと用意できるのかなど、疑問点がいくつか挙げられています。
総事業費としては3500億円を予定していて、巨額の資金調達をどうするのかが問題となっています。CAIJを中心として、出資企業を見つけていますが現時点ではKADOKAWAの子会社であるドワンゴが文化的な施設「ジャパン・ハウス」の運営を行うことが発表されているくらいです。
【参考】長崎県のカジノ事業者「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」はどんな会社?
県議会からも、浅田眞澄美議員などから資金調達を心配する質問は多くされ、一番の懸念事項として挙げられています。そもそも、当初は2000億円程度と試算されていた事業費が、倍近くまで膨れ上がったことに関しても、問題視する声が出ています。
こういった疑問点に関して、CAIJの林明男代表は出資金と金融機関からの借入金を半分ずつ予定する計画だとして、十分に確保できる見通しができていると話しています。
現在、CAIJは海外からの客を確保するために長崎空港からアクセスがしやすい海上の交通手段の整備計画を発表しています。CAIJが約147億円をかけてインフラ整備をして、高速船が走れる環境を作るとしています。
一連の資金調達に関してCAIJが自信を見せるのは、横浜市がカジノ誘致を撤回したことで参入を計画していた企業が長崎県にシフトすると言われているからです。大阪府・市ではすでに出資企業が固まりつつあると言われる中で、長崎県での事業のほうがうまみがあると考える企業が多いからだと言われています。
メガバンクを始めとして、大手商社や大手ゼネコンなどが、県やCAIJと最終調整に入っていると言われています。
県は、2022年に開かれる定例県議会に出資内容を含めた区域整備計画案を議案として提出します。現時点では、出資企業の名前まではさまざまな問題もあり明かせないが、徐々に公開していくつもりだとしています。
誘致先の一つとしては2029年の開業を目指している大阪府・市が本命視されています。
【関連記事】大阪府・市のカジノを含むIRは2029年度の開業へ
ライバルとなる和歌山県よりも調整が順調に進んでいる長崎県。2022年には、地元住民の理解も勝ち取り資金調達の目処も立っているのでしょうか?注目です。
※写真は「※画像は長崎県公式サイト」より引用