佐世保市議会で2021年12月8日に一般質問が行われ、ハウステンボスを候補地としているカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致について話し合いが行われました。
田中英隆副市長は、カジノを含むIRの誘致が成功したことを見据えて、周辺地域の交通渋滞に関する対策を行うプロジェクトチームを庁内に設置すると発表しました。これは、2021年11月にハウステンボスで開催された花火大会において、周辺地域で大規模な交通渋滞を起こしたことが要因となっています。今後、カジノを含むIRができた際には、慢性的な渋滞が起きてしまい地元住民の生活に支障が起きるのではないかと言われています。
田中副市長は、「IRへの自家用車による来訪者を生活道路に混入させないことを第一に考える」とした上で、プロジェクトチームを中心として、長崎県やIR事業者の「カジノオーストリアインターナショナルジャパン」(CAIJ)と連携して対策を練っていくとしています。
この問題は、2021年12月10日に行われた長崎県議会総務委員会でも話し合われています。議員から交通渋滞に関する質問が相次いで、自民党系の田中愛国県議からは「IRができると渋滞はもっとひどくなるのではないか?」との訴えが起きていました。
この訴えに対して県は、敷地外の駐車場からシャトルバスの運行をすることで自家用車での来場を減らす施策があることを発表。また、JRハウステンボス駅からロープウェイを運行することで電車での来場を促す計画があることも公表しています。
これに加えて、近隣の長崎空港からアクセスがしやすいように海上の交通手段が提案されています。約30分で施設に行くことができる高速船を就航させる計画があるとのことです。これは、事業者の「CAIJ」が約147億円をかけてインフラ整備をするとしています。
ただ、長崎県と「CAIJ」に関しては、これらの計画を行うための資金調達がうまくいかないのではないかと議員からも不安の声が広がっています。週刊新潮にも資金調達がうまくいっていないことを報じられているだけに、ロープウェイや高速船などに関して実現可能なのかが疑問視されるところです。
佐世保市も含め、長崎県と「CAIJ」は、資金調達や地元との調整を進めていきながら2022年4月までに国への認定申請を行っていくことになります。
【参照】長崎県特定複合観光施設(IR)