アジアのカジノで大躍進する「ラスベガス・サンズ」はどんな会社?

日本でもカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の開発に挑戦するが

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カジノを含む統合型リゾート施設(IR)に関して、開発が目覚しいのがアジア圏です。そのアジアで大掛かりなカジノ運営を手がけているのが、アメリカの『ラスベガス・サンズ』です。

日本でも、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)の開発を積極的に行おうとしていたことで知られています。しかし、2019年8月22日に大阪での計画を見送り、また2020年5月13日には、日本でのカジノ設立を断念したことを発表するとニュースで報道されました。

そんな『ラスベガス・サンズ』は1988年に設立され、本社はネバダ州ラスベガスに置かれています。その起源は1979年、創業者である『シェルドン・アデルソン』氏がラスベガスでコンピュータ関係の展示会を開催したことにあるといわれています。この展示会は成功を収め、得た資金によってカジノを含むレジャー産業に乗り出します。

1990年に開設したのは、『サンズ・エクスポ・アンド・コンベンション・センター』でした。これはカジノではなく展示会や見本市などを開催するいわば多目的複合施設でした。

1999年には、ラスベガスに高級ホテル『ベネチアン』をオープン。当時、既存の業者はカジノでの収益だけを目指し、施設を豪華で充実した内容にする一方で、周辺のホテルなどを単なる宿泊施設として考えていました。客室も狭く、宿泊客に対するサービスもあまり考慮しないケースが大半でした。

しかし、『ベネチアン』は4000の客室全室をスイートルーム仕様に設えるなど、関連施設のサービス向上を進めました。さらに、カジノ以外にもイベント開催などの関連事業に力を入れるなど、今日の統合型リゾート施設につながる展開を推進しました。その結果、多くのお客さんが来る施設になり大人気となりました。

(シェルドン・アデルソン、ミリアム夫妻とトランプ元大統領)

アジアで大躍進をするラスベガス・サンズ

2000年代に入ると、『ラスベガス・サンズ』はアジアでの事業展開で躍進していきます。2004年に『サンズ・マカオ』、2007年には『ザ・ベネチアン・マカオ』と『コタイ・アリーナ』を、2011年には『サンズ・コタイ・セントラル』を、2016年は『ザ・パリジャン・マカオ』を、それぞれマカオにオープンしました。

また、2010年にはシンガポールに『マリーナベイ・サンズ』を開業。3つのタワーに客船の乗ったユニークなデザインで、今やマーライオンとともに、シンガポールを代表する有名な観光スポットになっています。

営業的にもマカオだけで同社の売り上げの60パーセントを超えているとも言われています。そして、2021年になって衝撃的なニュースが流れました。ラスベガス・サンズが『ベネチアンリゾートラスベガス』と『サンズ・エクスポ・コンベンションセンター』を売却し、ラスベガスから撤退すると報じられたのです。

こうした売却の噂は2020年頃から流れていましたが、同社の基礎とも言える施設が対象となったことで、大きなショックを受けた人も多いようです。本社はラスベガスに置いたまま、アジア圏をターゲットとした展開へとさらに力を注ぐだろうというのが大方の見方です。

ちなみに、フォーブスが2021年10月6日に発表をした最新の米長者番付「フォーブス400」では『シェルドン・アデルソン』の妻である『ミリアム・アデルソン』が女性ランキングで5位に入りました。これは、シェルドンが2021年1月11日に亡くなったことで莫大な資産を相続したからです。

いろいろなことでニュースとなる、世界最大規模のカジノ運営会社『ラスベガス・サンズ』にこれからも注目していきます。

【参考】ラスベガス・サンズ