2007年にカジノ売上が世界一となったマカオ。それまで、絶対的な人気をほこっていたラスベガスを抜いたことで話題となりました。
そんなマカオのカジノ業界で、いまさまざまな変革が起きています。 まずは、2021年11月にカジノ関連会社大手『サンシティ・グループ・ホールディングス』の最高経営責任者『周焯華』が、越境賭博シンジケートを率いていたとされ逮捕された事件です。これに伴い、『サンシティ・グループ』は2021年12月10日をもってジャンケット業務を停止しています。ジャンケットは、カジノ施設を利用するVIP客をもてなすサービスで『サンシティ・グループ』は最大手と言われていました。サービスを停止したことで、通常の客よりも多額の資金を使うVIP客の来店が少なくなることが予想され、2022年の売上が心配されています。
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さらに、カジノライセンスに関する問題も出始めています。現在、マカオ政府とカジノライセンスを結んでいるのは6社で、約40のカジノ施設を運営しています。その6社の契約満了日が2022年6月26日に迫っています。
実は、マカオ政府はいままでのように既存の事業社に対してスムーズに契約延長をするのではなく、再入札を実施するという方針だと発表しています。これまでは、何の問題もなく契約が延長されていましたが、今後は新規参入なども可能となり現在の6社から契約されない事業社も出てくる可能性が高くなります。
再入札については、マカオ政府が法整備の準備を進めているところです。マカオで「娯楽場幸運博彩経営法律制度」と呼ばれる通称・カジノ法は、2001年に制定されたものです。20年の間に、マカオはカジノの売上で世界一となりマネーロンダリングなどの問題なども抱えるようになりました。そこで、マカオ政府は改めて法改正が必要だとしています。
2022年1月14日に行政法務庁の張永春長官が、カジノ法の改正案に内容を一部発表しました。
問題となっているライセンスは最大で6つとして、サブライセンスの禁止が明文化されました。現状は、正規のライセンス3枚と、それぞれにサブライセンスが1枚ずつ紐づくものという変則的なものとなっていることから、整理をするつもりのようです。
コンセッションの期間は最大10年で、現在の20年プラス延長最大5年と比較するとかなり短いものになる予定です。これは、業界内での競争力の強化を促すものとしています。また、事業者やカジノ業界参入社には、資格審査と規制メカニズムを強化する予定です。
この法案はすぐに採択されるものでなく調整が必要として、2022年6月末までに審議がまとまらない可能性もあると予想されています。後日、審議の日程についてもマカオ政府から発表があります。
新型コロナウイルスによる売上の激減や、重要人物の逮捕など混乱を極めているマカオのカジノ業界。今後、新たなカジノ法やカジノライセンスについてどのような動きがあるのか?注目が集まっています。