ニュースや新聞などで、『カジノ法案』という表現をよく見かけるようになりました。その言葉から、『カジノを作るための法律』とか『カジノを規制するための法案』と思っている人がいるかもしれません。
この『カジノ法案』は、正確には『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)』というもので、2016年12月15日に国会で成立しました。その内容は、経済的な効果が認められる「統合型リゾート」を日本でも整備するための法律です。
国は、『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)』に関して、以下のように定めています。
(目的)
第一条 この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。
(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律より引用)
目的としては、地域の観光や経済的に良い効果をもたらすために、カジノを作ることを許しますということです。日本人向けのパチンコや競馬などのギャンブルとは違い、海外からの観光客を呼び込んで、地域経済を活性化させましょうと訴えています。
また、基本理念は以下としています。
(基本理念)
第三条 特定複合観光施設区域の整備の推進は、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする。
(特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律より引用)
『統合型リゾート』(IR)を推進する自治体はしっかりと管理をして、さらに国でも監理をしていくとしています。
統合型リゾート(IR)って、そもそもなに?
そこで『統合型リゾート』とは何かということですが、特定の場所や地区にさまざまな観光や娯楽、文化的な施設を集結させてより良い集客や経済効果が期待できる、複合型の施設のことをこう呼びます。
簡単に説明すると、宿泊施設(ホテル等)、商業施設(ショッピングモール、デパート)、飲食施設(レストラン等)、劇場・多目的ホール、映画館、アミューズメント施設(テーマパーク等)、各種スポーツ施設(プールを含む)、温浴施設、博物館、その他文化施設などを集結させた『大規模なリゾート施設』を構築しようという考えです。
この統合型リゾートは英語で『Integrated Resort』となり、『IR』と呼ばれることもよくあります。この施設の中のひとつとして、カジノが含まれるというわけです。なので、カジノはIR全体から見ればごく一部の施設に過ぎません。でも、カジノは経済的に大きな効果が期待できることから、IRの構成要素として一番注目されているわけです。
ところが、日本ではこれまでカジノについての法律がありませんでした。なので、統合型リゾートを作るに当たって、カジノについて定めておく必要が出てきました。そこで、前述した『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)』でカジノに関しての取り決めが作られたというわけです。
大部分は統合型リゾート(IR)に関してで、その構成要素のカジノについての条文も含まれているということなのです。言葉として解りやすいことからマスコミなどで「カジノ法案」と呼ばれているんです。
現在、国と自治体は家族で楽しめる『統合型リゾート(IR)』を作ることを目的として事業を進めています。この「カジノ法案」と呼ばれる『特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(IR推進法)』を理解して、我々国民もしっかりと判断をしなければいけません。